「……今日、ご飯行こうか。 お礼も兼ねて」

「え……?」

「迷惑掛けたし……ただそれだけよ」


梅沢先生との関係が始まってから、私からほかの男性を食事に誘うことなんてしていなかった。

でも、昨日あんなことがあって、散々彼に迷惑を掛けておいてなにもお礼をしないなんて、さすがの私でも良心が痛む。
でも、少し困惑している遠山くんを見て、言わなきゃよかったと後悔。


「大丈夫……なんですか? その、梅沢先生のことは」

「それとこれとは話が別でしょ?」

「そうでしたか……。 じゃあ、ぜひ」


私の提案に賛成してくれたようで、ほっとする。 あんまりにも驚いた様子だったから、内心行きたくないのかと思ってしまった。

「それじゃあ、また」と言って手を振ると、私は一足先に病院へ向かった。


* * *

午後イチ。 図書館でとある病名について調べていると、急激に眠気に襲われてしまう。

それもそのはず。 
よく考えてみれば、昨日はあまり眠れていないんだもの。

けれど、遠山くんのベッドを拝借しておきながら眠たいなんて言っていられない。 疲れているのにも関わらず、彼にはソファーで睡眠を摂らせてしまった。

私以上に睡魔に襲われているかもしれないし、身体も痛いかもしれない。 そんなことを考えていると〝眠い〟なんてわがままを言っている場合ではなかった。