翌朝、目覚めたのは遠山くんの家のベッドの上だった。


約束通り、昨夜はなにも手を出してこなっかた彼。
というよりも、下心があって家に呼んだわけではないということは誘われたときからわかっていた。

泣いてどしようもなくなっていた私に救いの手を差し伸べてくれた遠山くんは、帰宅後にコーヒーを淹れてくれ、シャワーまで貸してくれた。

「俺はソファーで寝るので大丈夫です」と言って私にベッドまで貸してくれ、翌朝起きるまで本当にソファーで眠っていた様子の彼を見て、なんだか申し訳ない気持ちになってしまったけれど……。


「じゃあ……昨夜は本当にありがとう。 助かったよ」

「出勤、できそうですか?」

「うん、なんとか。 それに、今日どうしても終わらせたい仕事があって……」

「そうですか……。 無理しないでくださいね」


準夜勤を終えた遠山くんは、今日は普通に日勤だそう。 でも、一緒に出勤することはさすがに気が引けてしまって、私はいつもより先に職場へ向かうことにした。

病院まで徒歩10分くらいだし、走れば間に合うと言っていたけれど……なんだか昨日から迷惑かけてばかりだ。


「……ねぇ、遠山くん。 今日、仕事終わったら時間ある?」

「今日ですか? 少し残業にはなると思うけど、大丈夫です」