「好きだよ、星七(なな)

「私も……好きです」


お互いの気持ちを確かめ合うように、月明かりに照らされながら肌を合わせる。

〝いけない〟とわかっていながらも、私の身体は必死に梅沢先生を求めていた。


こうして、私たちの関係はスタートしたわけなんだけれど……最近のデートは、ものすごく手抜き。
付き合いたての頃は外食したり、合間を見つけてショッピングしたりしていたのに。


今日、『久しぶりに出かけたい』って言ってみようかな。 
だって私、彼女……だもの。 それくらい言ってもいいよね?

そんなことを考えながらお弁当を食べ終え、食後のコーヒーを飲んでいると、背後に人の気配を感じた。


「あ、やっぱり友希(ゆき)だ」

「バレた? お疲れ様」


少し遅れて休憩室にやって来たのは、看護師の友希。

職種は違うけれど病棟で関わることが多く、年齢も同じということから意気投合し、今ではなんでも相談出来る仲。
ちなみに、友希は私と梅沢先生の関係を知っている。


「今日さ、会うんでしょ? 梅沢先生と」

「え!? なんでわかったの?」

「だって、梅沢先生当直だもん。 すぐわかるよ」


ニヤニヤしながらお弁当箱を開けてプチトマトを口に運ぶ友希は、私たちの関係のことをなんだか楽しんでいるようにも見える。