「きれいね……本当にきれい」


鏡越しに写った私を見て、友希はそう言ってくれた。

今日は、みんなで最高の1日にしたい。
たくさん笑ってたくさん泣いて、みんなにとっても忘れられない1日になって欲しい。


「さぁ、そろそろチャペル行こうか。 遠山くん待ってる」


そう言いながら、友希は私に真っ白なローズブーケを手渡してくれた。

このローズブーケを持つと、お母さんと一緒に写真を撮った日のことが鮮明に蘇る。


「お母さん…行ってきます。 私、大空と幸せになるからね」


鏡の前に立ててある、みんなで撮った記念写真。
この写真のお母さんの笑顔は最上級の笑顔で、とても幸せそうで好き。

だから、今日持っているローズブーケも、この日と同じものにしてもらった。
きっと、お母さんも空から見ているに違いない。


控室を出て、チャペルの扉の前に友希と並んだ。 まずは式の前に、ウエディングドレス姿を大空にお披露目。

本当はリハーサルでお披露目予定だったけれど、それは友希が頑なに拒否。
「楽しみが減るでしょ!」と友希が言ったから、結婚式当日にお披露目することになった。


「準備はいい?」

「うん、大丈夫」

「じゃあ、行くよ」


友希が、ゆっくりとチャペルの扉を開けてくれる。

そして、ヴァージンロードの先で待ってくれているのは……グレーのタキシードに身を包んだ大空。