来週の土曜日……俺がちょうど仕事が休みのときにレンタルできるようで、助かった。

でも、俺だけで準備することは不可能だ。
星七といつも仲良くしている林さんにも、ヘルプを頼もうか。

そう思い立った俺は、夜勤から日勤への引継ぎの後、こっそりとこの計画を林さんに頼んだ。 できるか不安そうだった林さんだったけれど、「どうしても叶えたい」と頼み込むと、こちらも快くOKしてくれた。

「じゃあ、着付けと簡単なヘアメイク練習するわ」と、力になってくれるようだ。

衣装のレンタル料は、友人……瀬尾(せお)のご厚意で通常の半額。 それを、俺、林さん、瀬尾で出し合って支払う。
なんとかなりそうだ。


そして着々と準備が整い、計画の前日。


「まさか、遠山くんがここまで計画するなんてね」


休憩中、林さんにそう言われた。
林さんも明日に備えて休暇を合わせてくれていて、彼女にもなにからなにまでお世話になりっぱなしだ。


「まぁ……大切な星七のお母さんのためなんで」

「やるわね。 間違いなく、いい思い出になる。 私も精一杯協力させていただきます」

「ありがとうございます」


この計画が無事に終わったら、林さんや瀬尾になにかお礼しないとな。

そんなことを考えながら、俺は星七が作ってくれた卵焼きを口に含む。
明日のことを、想像しながらーー。