「星七、聞いてる?」

「えっ、うん……? 今、〝結婚〟って聞こえた……」

「うん、結婚しようよ。 俺、看護師としてはまだまだだけど、星七を幸せにするっていう気持ちは誰にも負けない」


そう言っている大空の表情は、今まで以上に真剣だった。

どうしよう、嬉しい。
そんな気持ちが先走って、瞳からは大粒の涙がボロボロとこぼれ始める。


「星七……返事聞かせて?」

「私……大空とずっと一緒にいたい。 これからも、ずっと。 だから……」


もう、私の気持ちは決まっている。

あの日……大空が病気だとわかった日から、ずっと彼に寄り添うと決めた。
その気持ちはこの先もずっと変わることはない。



「大空のお嫁さんにしてください」


涙を流しながら、笑顔で伝えた。

大空は私の涙を拭うと、私の顎を持ち上げて優しくキスをする。


「今はまだ下っ端看護師だから、エンゲージリングは買えなくてごめん。 でもいつかきっと星七に似合うエンゲージリングを選びに行こう」

「……うん! それまで待つよ。 何年でも待ってる」


私がそう言うと、大空は「ありがとう。 愛してる」と言って私のことを再び抱きしめてくれる。
それから2人で肉じゃがを食べたけれど、今日の肉じゃがは涙で少しだけしょっぱかった。