「そんなに泣いて、大丈夫なわけないでしょ?」と言いながら、私をソファーに座らせた。 大空は横に座って、私の手を握ってくれている。


「どうしたの? なにか仕事で嫌なことあった?」


優しく頭を撫でながら、大空が聞く。

正直……あまり言いたくない。
この前大空に『若松くんとは2人きりにならないで』と言われたばかりなのにこんな調子で、どう話せば大空に嫌な思いをさせないで済むかわからない。

でもきっと、隠しておくことはできないと思う。


「あ、あのね……今日さ……」


結局、すべて話した。 若松くんとの間にあったこと、それを梅沢先生が助けてくれたこと。

梅沢先生が助けてくれなかったらきっと、今こうして大空の待つところへ帰って来れなかったかもしれないと。

大空は驚いた様子で私の話を聞いてくれて、「なにもなくてよかったよ」と私のことを強く抱きしめた。
そう言った大空の声が震えていて、胸が締め付けられる。

そして「ふぅ……」と息を吐くと、私の顔を真剣な表情で見つめてくる。



「星七、俺と……結婚しよう」


突拍子もないことを言われて、自分の耳を疑った。

今、大空はなんて言った?
私の聞き間違いでなければ『結婚しよう』って言ってくれたような。