だいたいこういうドラマのヒロインって『奥さんにバレて多額の慰謝料請求されて別れる』というのが一般的な気もするが、このドラマは特に大事には至らず、不倫相手と幸せになるヒロインが描かれている。

このヒロインのようになるのが、今の私の目標。
梅沢先生がフリーになって、改めて私の彼氏になってくれるなら、もうなにも望まない。

そんなことを考えながら缶チューハイの2本目を開封したとき、テーブルに置いてあるスマホが震えた。
ちらりと横目で確認してみると、梅沢先生からのメッセージ。


『わかったよ。 次の休みのときに、どこか出かけよう』


チューハイを口にしながら、心の中でガッツポーズをする。
私がさっき送った、『たまにはどこかに出かけたいです』というわがままなお願いについての返信だ。

肌を合わせる度に〝もっと梅沢先生が欲しい〟とわがままになっていき、一緒にいる時間を増やしたいと思うようになっていた。

今奥さんがいたって関係ない。 上手くいっていないなら、私が奪ってみせる。

そんな風な考えがだんだん大きくなりつつある今、もう梅沢先生を誰にも渡したくなかった。


『嬉しいです。 私、今ショッピングモールに行きたくて。 買い物したい気分なんですよね』


そう返事をして、再びドラマに目をやる。
それ以降返信はなく、ほろ酔い気分になった私もベッドに入ると、そのまま眠ってしまっていた。