ーーねぇ。 神様、お願い。


もうなにもいらないから。
1日だけと言わずに、永遠に彼を私にください。

* * *


『今日も、いつもの時間くらいにおいで』


お昼ご飯中、テーブルに置いてあるスマホが震え、メッセージを受信した。

お弁当箱とお箸を丁寧に置くと、メッセージ画面を開いて、トントン……と軽快に返信を打ち込んでいく。


『わかりました。 18時くらいにいつもの場所に行きますね』


送信したのと同時に既読になったけれど、そこからもう返事はない。
スマホの画面を消して再びお弁当を食べながら、「はぁ……」とため息をついた。

メッセージのやり取りをしていたのは私の彼……外科医である梅沢先生。

病棟での関わりがあった私たちは、1年ほど前、彼からの猛烈アプローチにより交際がスタート。


でも。


この関係は、絶対に誰にもバレてはいけない関係だった。

梅沢先生の猛烈アプローチを受けたとき、私は左手薬指に光る結婚指輪に気が付いていた。
だけど、その頃にはもう梅沢先生のことを好きになっていて、気持ちを止めることは出来なくなっていて。


「梅沢先生の、特別にしてください」


そう当直室で言った、1年前の春。
深い深いキスとともに、私たちは結ばれた。