〜航也と美優が同居を始めて1週間〜

少しずつ、美優の体調も落ち着き、発作の頻度もぐっと減ってきた。

ある日の休日、航也と美優は家でまったりと過ごしていた。

「ねぇ、美優?やっと体調も安定してきたことだし、いつまでも高校を休んでるってわけにもいかないから、そろそろ許可出そうかなーと思ってるんだけど、どう?」

「え?!いいの?」

「病院にはさ、院内学級って言って、入院してる間にも勉強できる場所があるの。
小学生〜高校生まで通えるから、美優をそこに行かせることも考えたんだけど、入院したばかりで、急に病院の学校に通えって言うのも、環境が変わり過ぎて、美優の心も体も付いていかないと思ったんだ。
院内学級の先生は、俺の幼馴染がやってるから、今度紹介するな。もし今後、長期入院が必要になった場合は、その院内学級に通うことも考えていかないとだけど、とりあえず、高校復帰してみるか?今は、体調も回復傾向だしな」

「うん、高校のみんなに会いたい!でも、もしこの先また入院することになったら…院内学級?に行くことも考えてみるね。航也の友達なら安心だね。あんまり勉強遅れたくないし、来年は受験生になるしね」

「うん、そうだな。そうしよう。ただし、高校に復帰するには条件が2つある。
まず、体育はまだ許可出来ない、まだな。
あと1つは、美優が1番仲良くしてる子と連絡先を交換させて欲しい。
学校には俺から病気のことを伝えて、体育も休ませてもらえるように話をしておく。
ただ、いくら学校に伝えた所で、高校となれば、そんなに1人の生徒ばかりを丁寧に見てはくれないだろ?
教室だとか、友達といる時が圧倒的に多いから、その中に頼れる人がいることは大切だ。
縛り付けるようで悪いけど、その方が俺も、美優が学校に行っている間安心して仕事ができる。美優は、自分のことより周りを優先するトコがあるから心配。それでも、いい?」

美優は、色々と航也が自分のことを考えてくれてたことが素直に嬉しかった。

「うん、ありがとう。私もその方が安心。1番仲が良いのはね〜華かな。
入院中にも、ノートとか課題とか届けてくれて、航也も1回病室で会ったことあるよ?」

「あぁ、そーいえば、回診で美優の病室に行った時に来てた制服の子か?回診中だったし、挨拶もそこそこにすぐ部屋から出て行ったからな、まともに挨拶出来てなかったな」

「うん、華はね、小学校からの幼馴染なの。幼馴染って言っても、私より全然しっかりしてて、スポーツ万能でさ、いつも私の心配ばかり。
幼馴染って言うより、お姉ちゃんみたいな感じかな。
家のことも知ってるし、病気のことも、航也と一緒に住んでることも、全部話してあるから話は早いと思う…笑」

「そっか、それじゃ安心だな」

美優に頼れる友達がいた事に安心する。

「華ちゃんと連絡取れたら、俺に電話変わって?」

「うん、今日は日曜日だから、掛けてみるね!」

プルルル…

「あっ、華? 今大丈夫?
うん、うん、もう大丈夫、色々心配かけてごめんね。
それでね…うん、そう…」

一連の流れを美優から伝えてもらった所で、電話を変わる。

「こんにちは、鳴海航也です。急にごめんね。うん、そう、美優が入院してる時に1回会ってたみたいなんだけど、挨拶が遅れてごめんね。
さっき美優から話は聞いたと思うんだけど、明日から美優を学校に行かせようと思うんだ。
でね、美優の体調はまだ完全じゃなくて、喘息の発作が出やすくなってるんだ。
もし一緒にいて、具合が悪そうだったり、苦しそうにしてたら、俺に連絡もらえるかな?
可能な範囲で構わないから。
美優って、周りに正直に言わないでしょ?
そうそう、そうだよね。
だから、お願いしたいんだ。
俺の番号は美優から送らせるから登録宜しく。
華ちゃんの番号も登録させてもらうね。うん、じゃあ。」

こうして私の主治医と親友で、私を監視する同盟が組まれてしまった…(苦笑)