〜課外授業当日〜
朝ご飯が運ばれて来たけど、お腹の違和感は続いていて、食欲がない。

良くなれと念じながらお腹をさすっていると、航也が入って来た。

美優はとったにお腹から手を放す。

「美優、おはよう。昨日発作出ちゃったんだって?ちょっと胸の音聞くよ。うん、いいね、発作は落ち着いたね」

「うん…よかった…」

「ん?朝ご飯食べないの?」

「うぅん、今食べようと思ってた所」

そう言い美優はニコッと微笑む。

「美優、ちょっと仰向けに寝てみて?」

「え?!」

「さっきお腹抑えてたでしょ?ちょっとお腹触らせて?」

やっぱり…美優の異変を航也が見逃すわけがなかった…
すごい洞察力…

美優は航也の言う通りに仰向けに寝ると、航也が触診を始める。

「この辺は痛くない?ここは?」

「ん…うっ…」

「痛い?」

「…」

「美優、正直に言わないと分わからないよ?」

「…」

「おい、美優!」

航也の声が低くなり、これ以上は黙っていられないと観念する。

「夜中に点滴してから、なんかお腹が変なの…痛いっていうか、変な感じがするの…」

美優の言葉を聞いて、航也は夜中の記録をパソコンで確認している。

「あぁ、いつもと違う点滴使ったんだね。俺がいつも使う点滴よりちょっと強めの薬使ってくれたんだけど、たぶんそれの副作用でお腹の違和感が出たんだな」

(薬剤名を見ただけで、判断する航也ってやっぱりすごい…)

「下痢は?」

「してないよ」

「吐き気は?」

「大丈夫」

「そっか。この点滴したのは1回だけだから、じきにお腹良くなると思うから心配しなくていいよ。でも美優?自分の体調を黙っておくのは感心できないな。お泊りに行きたい気持ちはわかるけど、美優が我慢すればするほど対応が遅くなって重症化することもあるんだ。
そうならない為に入院して頑張って治療してるんでしょ?それが出来ないと何で入院してるのか、わかんなくなっちゃう。
昨日も消灯前に苦しくなったんだろ?」

「知ってたの?」

「診察すればわかるよ。でも自分で吸入できてえらかったな。えらかったけど、その後はちゃんと看護師さんに言わなきゃだめだろ?わかった?」

「うん!」

航也のお説教にしょぼんとした美優だったが、航也がほめてくれたのが嬉しくて途端に笑顔が戻る。

「全く単純なやつだな(笑)
朝ご飯は無理しなくていいぞ。今日は10時に出発だから、それまでいい子にしてて。
夜中眠れなかったんだろ?時間まで少し寝てな」

そう言って航也は病室を出て行った。

航也は美優にダメなものはダメとしっかりと伝えながらも、美優の気持ちが落ちないように頑張っていることをほめてくれたり、認めてくれる。

美優は航也の言葉に安心し、朝ご飯を半分ほど食べて横になった。