〜夕方〜
「遅くなってごめんな」

翔太が来てくれた。

「今日は行けなくて、ごめんなさい」

「謝る必要なんてないよ、体調はどんな感じ?」

「うん、さっき看護師さん来てくれて、まだ微熱があるって言ってた。でも苦しくはないから大丈夫」

「そっか、わかった。じゃあ、今日は古典をやろうかな。無理しなくていいからな」

「はーい」

美優は古典の教科書を開き、翔太が教えていく。

最後に教わった範囲のプリントをやって終わりにする。

「コホッ、コホッ」

真剣にプリントに取り掛かっている美優だか、時より咳をしているのが気になる。

「お疲れ様。今日はこの辺にしようか。ちょっと咳出てたけど、大丈夫?」

「咳?出てた?大丈夫だよ。
明日の課外授業楽しみだね!華も来るんでしょ?」

(咳出てるの無自覚なんだな…)

「うん、来るよ!華、美優の面倒見る気満々だから(笑)
航也も今の様子なら大丈夫って言ってたし、だから体調崩さないように今日は早く寝なよ?」

「うん!早く寝るね!」

美優の病室を出て、翔太は航也のいる医局に顔を出す。

「航也、仕事中悪いな。今ちょっといいか?」

「あぁ、大丈夫だよ」

「さっき美優の授業終わったんだけどさ、何度か咳き込んでたわ。だけど、本人は自覚ないみたい。微熱もまだ続いてるみたいだな」

「そうなんだよな。ピークフロー値が下がってるから、泊まりの時ちょっと注意しないとと思ってる。気圧とか気温の変化で発作が起きないかちょっと心配だな」

「そうだな。まぁ、その為にスタッフが大勢いるからな。ボランティアの方にも周知しとくよ」

「あぁ、頼むな」