それから1週間程度は不安定な体調が続いていた美優だったが、少しずつ回復し食欲も戻ってきた。
華は暇さえあれば、美優の見舞いに来てくれていている。
看護師から、今日も華ちゃんが面会に来てくれていると報告を受ける。
病室に近付くと、2人の笑い声が聞こえる。
航也が病室に入る。
「華ちゃん、いらっしゃい」
「鳴海先生、こんにちわ」
「2人とも楽しそうだな。お前らの笑い声が廊下まで聞こえてるぞ」
「だって〜華が笑い過ぎなんだよ」
美優が答える。
「いやいや、美優お前の声が1番うるさいんだよ(笑)」
と美優の頭にポンと手を置く。
「そうだよ、美優の声がでかいの」
(笑えるほど元気ってことで許してやるか…笑)
「それで、声のでかい美優チャン、体調はどうかな?」
「うん、大丈夫。具合悪くないよ。ね、華?」
「華ちゃんに聞くなよ(笑)
悪くないならいいけど、美優チャンの大丈夫は信用できないからな。ちょっと胸の音聞かせて」
航也は聴診器で胸の音を聞き、手首の脈を測る。
(ん?ちょっと脈が早い、たまに脈が飛ぶな…)
「はい、オッケ。肺の音は綺麗だよ。心臓はドキドキしたり、詰まる感じはしない?」
「心臓?うん、大丈夫だよ」
「そっか、わかった。じゃあ、また来るからな。華ちゃんゆっくりしていきな〜」
「は〜い」
2人の明るい声が病室に響く。
最近薬を変えてから、美優の食欲が戻って一安心だったが、依然として血小板が低い状態は変わらず、薬の副作用なのか不整脈も出ている…
幸い、美優の自覚症状はないみたいだか、やはり全身状態の変化に注意が必要だ。
航也が出て行ってからも、華と美優のおしゃべりは止まらない。
しばらくすると今度は翔太が入って来た。
「あっ、華ちゃん来てたんだね。この間はボランティアありがとね。」
「しょ、翔太先生、こんにちは。いえ、こちらこそありがとうございました」
「うん、また機会があったらお願いね。華ちゃんも美優ちゃんもニコニコして楽しそうだね。美優ちゃんも元気出てきたしね。はい、これ数学のプリント。体調見ながらで良いから、出来そうだったらやってみて。少しずつ元気になってるから、来週には院内学級に行く許可が出せそうって航也が言ってたよ。よかったね」
不安定な状態が続いていた美優は、ベッドサイド授業になっていた。
「うん、よかった。またお願いします」
美優はそう返事をする。
「こちらこそ。じゃ、楽しい時間邪魔してごめんね。華ちゃんもまたね」
翔太は病室を後にする。
院内学級には、勉強以外にも誕生日会、季節の催し物、ピクニック、課外授業などのイベントや行事があり、その時は高校生以上を対象にボランティアを募集している。
ボランティアには、会場準備、子供の遊び相手、絵本の読み聞かせなどをしてもらい、子供たちとの交流を通して、院内学級や病気の子供たちへの理解を深めてもらうことが目的。
ボランティアの多くは、医者や看護師を目指している学生だったり、華のような先生を目指している人が多く、華も翔太の紹介で、こうしたボランティアに何度か参加している。
華は翔太に出会って初めて院内学級という存在を知り、将来は翔太のような院内学級の先生になりたいと思うようになった。
そして、美優のような病気と闘いながら、長期入院している子供たちの役に立ちたいと思っている。
華は院内学級のボランティアに参加するようになって、ひそかに翔太に思いを寄せていた。
翔太は子供達やその保護者だけではなく、航也たち医師からも、看護師からも、とても信頼されている。
子供にも優しく真摯に向き合い、勉強を教えるのももちろん上手。それに、子供達1人ひとりの体調や様子を把握して、適切に対応できる翔太は、尊敬するし、かっこいい…華の憧れ。
華は、これまでに抱いたことのない感情に戸惑いながらも、これが好きという感情なのだと気付いた。
さっきも翔太が入って来た瞬間から、ドキドキが止まらなかった。
「ねぇ、美優。翔太先生って優しいよね?」
「翔太先生?うん、優しいよ。何かあったの?」
「うぅん、優しくて良い人だなって…」
「え?何それ(笑)どうしたの?」
「いや〜私さ、翔太先生のこと…好きになっちゃったのかなって…さっきもドキドキしちゃったし…」
「華〜かわいすぎ!!それはもう恋だよ!恋っ!!」
「ちょっ、美優、声でかいって!」
「あっごめん(汗)」
「でも…高校生の私になんて興味ないよね…相手にされないよね…」
「なんで?そんなのわからないじゃん!!前に翔太先生、彼女居ないって言ってたでしょ?
チャンスだよ、華っ!
翔太先生とは幼馴染って航也が言ってたから、25才でしょ?
私も航也と付き合えたんだし、年齢なんて関係ないよ!
気持ち伝えてみたら?」
「え!?いや無理だよ!絶対ムリ!!自信ないもん…」
「もう華は自分のことになると臆病なんだから(笑)
華は美人なんだし、優しいし、自信持って大丈夫だよ。
私から、航也に相談してみようか?なんか気持ち伝える良い方法ないか聞いてみるよ?」
華は渋々了承してくれた(笑)
航也と付き合い立ての頃は、華に色々協力してもらったり、たくさん応援してもらったから、次は自分の番!と美優は意気込む。
こうして華の初恋がスタートした。
華は暇さえあれば、美優の見舞いに来てくれていている。
看護師から、今日も華ちゃんが面会に来てくれていると報告を受ける。
病室に近付くと、2人の笑い声が聞こえる。
航也が病室に入る。
「華ちゃん、いらっしゃい」
「鳴海先生、こんにちわ」
「2人とも楽しそうだな。お前らの笑い声が廊下まで聞こえてるぞ」
「だって〜華が笑い過ぎなんだよ」
美優が答える。
「いやいや、美優お前の声が1番うるさいんだよ(笑)」
と美優の頭にポンと手を置く。
「そうだよ、美優の声がでかいの」
(笑えるほど元気ってことで許してやるか…笑)
「それで、声のでかい美優チャン、体調はどうかな?」
「うん、大丈夫。具合悪くないよ。ね、華?」
「華ちゃんに聞くなよ(笑)
悪くないならいいけど、美優チャンの大丈夫は信用できないからな。ちょっと胸の音聞かせて」
航也は聴診器で胸の音を聞き、手首の脈を測る。
(ん?ちょっと脈が早い、たまに脈が飛ぶな…)
「はい、オッケ。肺の音は綺麗だよ。心臓はドキドキしたり、詰まる感じはしない?」
「心臓?うん、大丈夫だよ」
「そっか、わかった。じゃあ、また来るからな。華ちゃんゆっくりしていきな〜」
「は〜い」
2人の明るい声が病室に響く。
最近薬を変えてから、美優の食欲が戻って一安心だったが、依然として血小板が低い状態は変わらず、薬の副作用なのか不整脈も出ている…
幸い、美優の自覚症状はないみたいだか、やはり全身状態の変化に注意が必要だ。
航也が出て行ってからも、華と美優のおしゃべりは止まらない。
しばらくすると今度は翔太が入って来た。
「あっ、華ちゃん来てたんだね。この間はボランティアありがとね。」
「しょ、翔太先生、こんにちは。いえ、こちらこそありがとうございました」
「うん、また機会があったらお願いね。華ちゃんも美優ちゃんもニコニコして楽しそうだね。美優ちゃんも元気出てきたしね。はい、これ数学のプリント。体調見ながらで良いから、出来そうだったらやってみて。少しずつ元気になってるから、来週には院内学級に行く許可が出せそうって航也が言ってたよ。よかったね」
不安定な状態が続いていた美優は、ベッドサイド授業になっていた。
「うん、よかった。またお願いします」
美優はそう返事をする。
「こちらこそ。じゃ、楽しい時間邪魔してごめんね。華ちゃんもまたね」
翔太は病室を後にする。
院内学級には、勉強以外にも誕生日会、季節の催し物、ピクニック、課外授業などのイベントや行事があり、その時は高校生以上を対象にボランティアを募集している。
ボランティアには、会場準備、子供の遊び相手、絵本の読み聞かせなどをしてもらい、子供たちとの交流を通して、院内学級や病気の子供たちへの理解を深めてもらうことが目的。
ボランティアの多くは、医者や看護師を目指している学生だったり、華のような先生を目指している人が多く、華も翔太の紹介で、こうしたボランティアに何度か参加している。
華は翔太に出会って初めて院内学級という存在を知り、将来は翔太のような院内学級の先生になりたいと思うようになった。
そして、美優のような病気と闘いながら、長期入院している子供たちの役に立ちたいと思っている。
華は院内学級のボランティアに参加するようになって、ひそかに翔太に思いを寄せていた。
翔太は子供達やその保護者だけではなく、航也たち医師からも、看護師からも、とても信頼されている。
子供にも優しく真摯に向き合い、勉強を教えるのももちろん上手。それに、子供達1人ひとりの体調や様子を把握して、適切に対応できる翔太は、尊敬するし、かっこいい…華の憧れ。
華は、これまでに抱いたことのない感情に戸惑いながらも、これが好きという感情なのだと気付いた。
さっきも翔太が入って来た瞬間から、ドキドキが止まらなかった。
「ねぇ、美優。翔太先生って優しいよね?」
「翔太先生?うん、優しいよ。何かあったの?」
「うぅん、優しくて良い人だなって…」
「え?何それ(笑)どうしたの?」
「いや〜私さ、翔太先生のこと…好きになっちゃったのかなって…さっきもドキドキしちゃったし…」
「華〜かわいすぎ!!それはもう恋だよ!恋っ!!」
「ちょっ、美優、声でかいって!」
「あっごめん(汗)」
「でも…高校生の私になんて興味ないよね…相手にされないよね…」
「なんで?そんなのわからないじゃん!!前に翔太先生、彼女居ないって言ってたでしょ?
チャンスだよ、華っ!
翔太先生とは幼馴染って航也が言ってたから、25才でしょ?
私も航也と付き合えたんだし、年齢なんて関係ないよ!
気持ち伝えてみたら?」
「え!?いや無理だよ!絶対ムリ!!自信ないもん…」
「もう華は自分のことになると臆病なんだから(笑)
華は美人なんだし、優しいし、自信持って大丈夫だよ。
私から、航也に相談してみようか?なんか気持ち伝える良い方法ないか聞いてみるよ?」
華は渋々了承してくれた(笑)
航也と付き合い立ての頃は、華に色々協力してもらったり、たくさん応援してもらったから、次は自分の番!と美優は意気込む。
こうして華の初恋がスタートした。