「きみが、
 最低限、ココで気をつける
 ことは、

 音だなっ」


 ある日、監督が、言った。


「カメラが回り始めたら
 緊張しなくていいから静かに、
 鼻で呼吸しろ

 意識してな?

 あとはセットの入れ替えの時は、
 大道具さんに近づくな。

 残念ながら、
 ココは仕事場だから。
 大切なのは仕事が最優先で
 子供は二番目か。

 三番目になっちまう。

 また気が散って、
 集中的が欠けても
 いかんしな?


 自分の安全は
 ココでは自分で確保しろ。
 大人の目線では、
 子供はなかなかみえない。

 きみだって、

 大人の視界がどんなもんか
 解らないダロウ?


 だからこうして、
 たまにしゃがむ事は、

 私にとっては相当

 エキサイティングな事では
 あるのだが…



 とにかく

 シーン転換の時には、
 端に寄っておけ?

 真ん中には居るなよ?」


 ウンウンと、

 僕はうなずいた。