あざと女子の恋の歌はあざとくない。



あたしはそんなに安い女じゃない。
この通り男がほっとかない美少女なんだから、もっとイイ男が現れたらそっちに行っちゃうかもしれないんだよ?


……なんて、そんなわけない。

だって、どんなイケメンに言い寄られても、緋色がいいって思っちゃうんだもん。

このイヤリングだって……何よ。

めちゃめちゃ嬉しいんですけど……っ!!


「ばかぁ〜〜!!」

「えっ!?なんで泣くの!?」

「好きぃ〜〜〜!!」


悔しいくらいに好き。
もう大好き。

本当はもっとかわいくあざとくアピールしたいのに。
緋色の前ではあざとくなれない。

気持ちが溢れて止まらなくて、涙が出てしまうくらい。

……でも、何故かそんな自分でも悪くないかなって思えたりもする。

多分、全力で恋してるから。


地味で大人しくて引っ込み思案。
かるたのことしか考えてないかるたバカだけど、その情熱は誰にも負けてない。

皮肉屋のくせにどこか真面目で、ふとした時にキュンとさせるずるい笑顔。

もう全部が大好きなの。
緋色じゃなきゃダメなんだ。


「……ねぇ、ちゃんと見ててよ?」


今は一方通行でもいい。
恋よりかるたでも構わない。

でも、いつか振り向かせてみせるから。

二人で綴る恋の歌は、夏の夜空に弾けて花が開いたばかりだ。



fin.