狼男な彼女

自分に言い聞かせながら、彼女の壊れてしまいそうな程小さな左手を優しく包み込む。

五秒程何も起こらなかったので、研ぎ澄ました打撃に対する警戒をゆっくりと解いていく。

完全に緊張が解けた瞬間、俺の意識は自分の右手に一気に集中した。

暖かくて柔らかい彼女の手から、俺の体中に温もりが伝わって来る。

もう何というか、幸せ過ぎてすいません。

彼女と別れる場所に着くのが、いつもより早いように俺には感じられた。

俺の右手を小さな左手で握りしめたままの彼女が言う。