廊下に飛び出してすぐ、聞き覚えのある声に呼び止められた。

「陸斗くん……」
「涙……大丈夫?」
「……っ」

 ダメ。
 ここで泣いちゃダメ。

 陸斗くんがびっくりしちゃうから。

 でも、一度あふれ出した涙はとめようがなかった。
 何も理由を知らない陸斗くんを困らせちゃダメだ。

「ちょっと来て」
「えっ」

 私は陸斗くんに腕をつかまれ、ひとけのない階段のとこまで連れてこられた。

 まわりの目を気にしてくれたのかな?
 やさしいね、陸斗くんも。

 そして陸斗くんは私が話し始めるまで、待ってくれた。