「ねーねーお兄ちゃんはおんぶすき?」
「私は好きだよ! 眠くなっちゃうよね!」
「お姉ちゃんにはきいてないんだけど一」
(憎らしっ!)
女の子をおんぶする翔ちゃんの代わりに荷物を持ちながら、三人で校内を回る。
女の子は満足気に学校を見ていたが、それ以上に翔ちゃんにめちゃくちゃ懐いていた。
「昔よく婆ちゃんにおぶってもらってたから好きだったかもな」
翔ちゃん達の一歩遅れた所で私が1人納得してると、翔ちゃんが珍しく昔を懐かしむように話し始めた。
おんぶされるの好きな翔ちゃん可愛い……私はおんぶされるのが理想だけど、頑張って筋トレしようかな、と自分の腕を見つめていると、女の子にハンって感じで見られていた。この子私に敵対心すごくない?
「お兄ちゃんは、お婆ちゃん子だったんだね」
「まあな。婆ちゃんはいつも俺の面倒見てくれてたよ。よく一緒に出かけて疲れると、歩けないだの、帰りたくないだの言って、いつもばーちゃん困らしてたけどな……」
当然かもしれないけど、今の姿からは想像出来ないなと思った。
「そーなんだ。でも、お兄ちゃんカワイイからお婆ちゃんはワガママいわれてもうれしかったと思うな」
女の子の意見に完全に同意! と後ろで1人頷く。
それにしても随分と大人みたいな物言いをする子だ、と思っていると、翔ちゃんも同じ事を思ったのか、女の子の大人びたフォローにハハっと優しく笑う。
それはいつもの私と話す時に鼻で笑う、ハッという感じの笑いとはまるで違った。
いや、それはそれでカッコ良いから良いんだけど、込められてる優しさが違うような気がした。
