(離宮にお化けが出るなんて聞いてない。お化けは苦手なのに!)
ベアトリスはさっとジャンの背後に隠れた。
「やだなあ。お化けじゃありません、人間です」
お化けが冷静に返事をしてきた。
「お化けが喋った!?」
ベアトリスは必死にジャンにしがみついて身を隠す。
「おい。よく見ろ。人間だ」
ジャンのあきれたようか声が頭上から響く。
「に、人間?」
ジャンの背後に隠れていたベアトリスは、おずおずと顔を出してその黒い物体を見る。その瞬間、黒い物体からぬっと白い顔が現れた。
「いやぁぁぁ、出たぁぁぁー‼」
ベアトリスのこの日一番の悲鳴が、離宮に響き渡った。



