俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


「この指輪があるから大丈夫だとは思うが……気を付けていけよ」
「わかっています」

 頷くベアトリスを見つめ、アルフレッドは手を伸ばす。まるで存在を確認するかのように軽く撫でられ、その手はすぐに離れていった。


 ◇ ◇ ◇


 今日は、モヒート商会にいよいよ潜入の予定だ。ベアトリスは緊張の面持ちで、調書と事前に入手していたモヒート商会の内部図面を見比べる。

『窓のない、とても狭くて暗い部屋でした。階段を上るまでにドアを二回開けたのを覚えています』

 カイルによると、保護された女性はそう証言したという。それに当てはまる部屋は、地下にある貯蔵庫しかない。

(地下に入って右側と。屋敷の出口は正面玄関の一箇所だけ)

 内部に潜入したら、地図を見ながら動いている余裕はないかもしれない。忘れないようにしっかりと頭に叩き込んだ。
 そのときだ。「すみません」と声がした。

「はい」

 書類に集中していたベアトリスはパッと顔をあげる。

「あれ? 気のせい?」

 ベアトリスの前には誰もいなかった。不思議に思ったものの気を取り直して 再び資料を確認し始める。その時だ。

「すみません」