「付けていてほしい。俺が安心できるから。錦鷹団の仕事をしていると、いつまた危険がないとも限らない」
いつもの命令口調ではなく窘めるような言い方に、ベアトリスは何も言えなくなる。
「物は所詮、物でしかない。お前の身の安全のほうが大切だ」
「そこまで言うなら……」
なんとなく、ここは折れたほうがいいような気がした。
ベアトリスの返事に、アルフレッドがほっとしたような顔をする。アルフレッドはベアトリスから指輪を取り上げて摘まむように持つと、ベアトリスの左手の指に指輪を嵌め直す。
ベアトリスはアルフレッドの横顔をじっと見つめた。
(昔、何かあったのかな?)
錦鷹団は秘密組織故に、扱っている件名も難しいものが多い。
何があったのかはわからないけれど、こんな大それたものを持ち出してくるなんて、以前何かがあったのではないかと感じた。
「明日はモヒート商会に潜入か?」
「はい」
「他の団員に任せることもできるのに。まあでも、お前の性格なら止めても行くのだろうな」
「よくご存じで」
ベアトリスの返事に、アルフレッドは苦笑する。



