俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


(さっきまでの紳士的で優しい男性はいずこに?)

 目の前の男は、まさに〝冷徹〟の言葉がぴったりな、厳しさを感じた。

「申し訳ございません。ここ最近、わたくしの周りではあまりにも非現実的なことばかりが起こるので、もしかしたら物語の世界に迷い込んだのではないかと思いまして」
「面白い想像だな。しかし、これは現実だ」
「ですよね」

 ベアトリスは引きつった笑いを浮かべる。
 どうか夢の世界であってほしいと願ったけれど、残念ながら違ったらしい。

「改めまして、コーベット伯爵家のベアトリスと申します」
「知っている。お前を探しに、わざわざ行きたくもない舞踏会に行ったんだからな」
「そうでございますか」

 ベアトリスは抑揚のない声で答える。
 そんなに偉そうに言われても。
 こちらは一切頼んでいないのですけれど?

「初対面かと思いましたので、ご挨拶したまでです」
「そうか」

 アルフレッドはベアトリスを見つめ、ふっと笑う。