「俺がいては何か問題が?」
「いえ、そんなことは」
ブルーノは真っ青な顔で首を左右に振る。
「先日の王宮舞踏会で可愛い子ネコを見つけたのだが、その子ネコはどうやら捨てられたらしいと噂に聞いてな。だから今日は、その子ネコを拾いに来た」
「子ネコ!?」
この話の流れでは、子ネコとはベアトリスのことだろうか? なんて失礼な人なのだろうとベアトリスは呆気にとられた。
「しかし、ベアティはこれまでローラに数々の悪事を──」
「お前はコールマン侯爵家の嫡男だったな?」
「はい」
「ベアトリスは俺が拾った。つまり、俺のものだ。以後、俺のものに対して馴れ馴れしく愛称を呼ぶな」
落ち着いた、けれど威厳のある話し方は歯向かうことを許さない迫力があった。
「……っ!」
ブルーノはさっと顔を青くする。
「さあ。目的は達したし、我々は行こうか」
男はベアトリスを見つめ、微笑む。そして、腰を抱いたまま会場の外に出ようと促した。
ベアトリスは混乱した。



