俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

 ◇ ◇ ◇


 今日はバトラー公爵家の舞踏会の日だ。
 ベアトリスは何度も鏡を覗きこんでは自分の姿を確認する。

「ねえ、ソフィア。大丈夫かしら?」
「とてもお綺麗ですよ」

 元々大きめの目元はしっかりと化粧がされ、睫毛がくるんと上がっている。
 艶やかな茶色い髪はゆるく巻かれ、耳の上に金細工の髪飾りが付いている。ドレスは少し大人っぽく、紺色の落ち着いた物を選んだ。生地にはところどころに金糸で刺繍がされており、それがまるで夜空に浮かぶ星のように煌めいている。

「よし! じゃあ、わたくし頑張ってくるわ!」

 ベアトリスは胸の前で両手を握る。
 この日、ベアトリスはいつになくやる気を漲らせていた。

 ──目指すは未来の夫となる男性と出会うこと!

 もうすぐ結婚とばかり思っていた祖父母は、ベアトリスの婚約破棄を知って大層落ち込んだ。自分達が先立ったあと、ひとり残されるベアトリスのことを心配しているのだ。
 両親に先立たれたあと大切に育ててくれた祖父母を安心させてあげたい。そのためには、早く素敵な結婚相手を見つけなければならない。

(絶対にいい人を見つけなきゃ!)

 ベアトリスは並々ならぬ闘志に燃え、家を出た。