それなのに、この対応は一体なんなのか。
「どうして俺がここにいるとわかった?」
「友人を通してサミュエル=バトラー様に教えていただいたわ。錦鷹団を知っているかって聞いたら、ここに届けに行くようにって言われたのよ」
「サミュエルに? そう言えば、今日の午後に来客があると言っていたな」
ジャンは顎に手を当ててふむと頷く。
(そう言えばって、この人もしかして忘れていたの!?)
バトラー家といえば、ここセルベス国では名門中の名門貴族だ。そこの嫡男であるサミュエルが伝えたのに忘れるとは、なんて肝が据わった男なのだろう。さすがは団長をしているだけある。
ジャンはベアトリスの心の声など露知らぬ様子で、ベアトリスの持ってきた封筒を手に取りそれを眺める。
「この封筒の文字を読んだと言っていたな」
「ああ、それは──」
ベアトリスは口を開く。
「本が好きで、世界中の本が読みたくなって色んな国の言葉を勉強したの。それはヒフェル語でしょう?」
「色んな国の言葉? 他にも読めるのか?」
「読めるわ」
ジャンは少し考えるように無言になり、スッと立ち上がると執務机の上に置かれていた書類を手に戻ってきた。



