俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 衛兵が近づいてきたベアトリスを制止する。

「団長閣下にお届け物なのですが」
「団長へ? それを証明できるものはありますか?」
「証明? えっと、これです」

 ベアトリスは拾った封筒を差し出す。男性騎士はその封筒を見て、眉根を寄せた。

「何も書いていないじゃないですか。これでは団長にお目通しすることはできません。お引き取りください」
「え? ちょっと待って。これはヒフェルっていう国で使われていた古代文字なんです。ここに、ジャン=アマール団長閣下って──」

 ベアトリスは封筒の宛名の部分を指さす。

「お引き取りを」

 とりつく島もなく追い返されそうになって押し問答をしていたそのとき、「何事だ?」と背後から声がした。振り返ると、黒目黒髪の凜々しい青年がこちらに向かって歩いて来るが見えた。

(あ、この人!)

 間違いない、ベアトリスがあの舞踏会で出会った人だ。

「こちらのご令嬢が閣下に届け物があると──」
「俺に?」