俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?

 一方のマーガレットは慌てたように手を振る。

「そうじゃなくて! 誤解しないで。ただ、その……、とにかくそのほうがいいわ。サミュエル様に、届け先は確認するから」
「そう? わかったわ、ありがとう」

 届けられそうな目途が付いて、ベアトリスはひとまずホッとした。
 このときはまだ、この手紙が自分の運命を変えることになるとは露ほども思っていなかったのだ。


 ◇ ◇ ◇


 翌日。ベアトリスはひとりで王宮へと向かった。
 マーガレットの行動は早く、拾った封筒を届けたいとベアトリスが相談した翌日、即ち今日の朝にはどこにこれを届ければいいのかの行き先を手紙で教えてくれた。

「えっと、こっちでいいのよね?」

 ベアトリスはマーガレットにもらった地図を片手に、周囲を見回す。王宮なんて王宮舞踏会に参加するときしか訪れたことがない。しかも、今いるエリアはこれまで一度も足を踏み入れたことがない場所だった。

 縦溝掘りの石柱が両側に立ちならぶ開放廊下の周囲には整った庭園が広がっていた。その開放廊下の遥か前方には真っ白な石造りの建物がある。入口の扉は閉っており、その入口の前には入り口を守る衛兵が立っているのが見えた。

 ベアトリスは地図を片手にその建物へと近づいてゆく。

「こちら、一般人は立ち入り禁止です」