マーガレットの懇意にしている公爵家で開催される舞踏会なら、身元のはっきりとした人しか参加しないはずだから安心だ。そこでいい出会いがあれば、次の婚約者も見つかるかもしれない。
「さすがマーガレット! 頼りになるわ」
「ふふっ。そうでしょう? もっと褒めてくれてもいいわよ」
マーガレットは得意げに笑う。
(マーガレットったら!)
ベアトリスはマーガレットの、こういう高位の貴族令嬢らしからぬ性格が大好きだ。公爵令嬢で王室とも縁続きの尊い身分でありながら、いつもベアトリスに気さくに接してくれる。
「あ、そうだ。サミュエル様の名前が出て思い出したのだけれど、マーガレットにお願いしたいことがあるの」
「お願い? 何?」
「マーガレットは錦鷹団って知っている? 先日そこに所属している方宛の手紙を拾ったので届けてあげたいのだけれど、貴族年鑑を見てもその方について載っていなくって。『錦鷹団 ジャン=アマール団長閣下』って書いてあったから、全騎士団を統括する部署にいらっしゃるサミュエル様ならご存じかと思うの」
ベアトリスは鞄に入れていた封筒を取り出すと、その宛名の部分を指さした。



