俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


(やっぱり、ここを去るべきね)

 ここ最近、ベアトリスが魔道具で変身して城内をうろうろしているときも、城全体が浮き立っているのを感じる。誰もがどこか浮かれた様子で、きたる祝い事を喜んでいるように見えた。

「アルフレッド様が正妃を娶るつもりだというのは間違いなさそうね」

 ベアトリスは、はあっと息を吐く。
 アルフレッドが未だに婚約者も作らずに正式な妃も娶っていなかったのは、婚約者候補達が次々と不慮の死を遂げていたからだ。けれどその心配も拭われた今、彼が妃を娶るのは自然な流れに感じた。

 アルフレッドはここセルベス国の王太子だ。彼は世継ぎを残すためにも、妃を娶る必要がある。

「ここってアルフレッド殿下の離宮なのだから、正妃様もこの建物に住むのよね?」

 さすがに隣の部屋ということはないと信じたいが、それでも顔を合わせる機会はあるだろう。そんなとき、自分は自然に笑っていられるだろうか。

(自信がないわ……)

 となると、やっぱりベアトリスはここを去るしかない。何度考え直しても同じ結論に至り、ベアトリスはようやく決心を固める。

「今夜、殿下に伝えましょう」

 この胸の痛みも、いつかはいい思い出に変わるだろう。