ベアトリスの知る王都の騎士団は近衛騎士団と第一騎士団から第十騎士団までの、全部で十一種類だ。
(家に帰ったらお住まいを調べて、届けて差し上げよう)
ベアトリスは拾った手紙を自分の鞄にしまうと、馬車乗り場へと歩き出した。
◇ ◇ ◇
事件が起きた王宮舞踏会から早三日。ベアトリスは頭を抱えていた。
「人の噂って、広がるのが早すぎじゃない?」
──ベアトリス=コーベットは婚約者の気持ちを奪われた嫉妬に駆られて友人を虐め、それが婚約者本人にばれて婚約破棄された惨めな性悪令嬢である。
それが現在のベアトリスの評判らしい。
舞踏会でことの一部始終を目撃した友人が心配して連絡をくれ、そのことを教えてくれた。
「あれは本当に酷いと思ったわ。なんで反論しなかったのよ!」
自分のことのように怒ってくれているのは、学生時代からの友人であるサルーナ公爵令嬢のマーガレットだ。緩く波打つ金髪と新緑を思わせる緑眼が魅力的な美女で、王家とも縁のある公爵令嬢でありながらいつもとても気さくに接してくれる。
「反論したって無駄でしょう? だって『真実の愛』らしいから」



