俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 何かの資料を読んでいたカインは、顔を上げる。

「ああ。それはあげる」

 カインは差し出された指輪を一瞥し、首を横に振る。

「え?」
「だって、これはジャン団長に頼まれて、きみのために作ったものだから。これを作るために一時的にジャン団長から幻術のビアスを借りたんだけど、なかなか上手く再現できているでしょ? この魔道具を作る上で一番の大変だったポイントは──」

 カインは堰を切ったように、夢中でこの魔道具の製作秘話をしゃべり出す。
 魔道具の話題なので、スイッチが入ってしまったようだ。

 ベアトリスはそのほとんどを聞き流しながら、手元の指輪を見つめた。

(わたくしのために、ジャン団長がこれを?)

 どうして?と考えて、ひとつの理由が思いつく。

「それってもしかして、わたくしが気兼ねなく外に出られるように?」
「さあ、理由は言っていなかったけど」
「そうですか」

 錦鷹団の事務所を出て部屋に戻る途中も、カインから言われた言葉がよみがえる。