俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?



 ペンを置いたベアトリスは時計を見る。時刻は夜の八時を回っていた。

「はあ、結局こんな時間になっちゃったな」

 ベアトリスはぐったりとして息を吐く。

「お疲れ様」

 トンッと音がして、机の上にマグカップが置かれた。顔を上げると、机の前に立っているのはサミュエルだ。

「ホットミルクなんだけど、よかったらどうぞ」
「サミュエル様……。ありがとうございます」

 ベアトリスは眉尻を下げる。
 団長室からしゅんとして戻ってきたあと、黙々と仕事をこなすベアトリスを気にかけてくれたのだろう。その心遣いに、迷惑をかけたことを改めて申し訳なく思った。

「今日は、申し訳ございません」
「もう終わったことだし、気にしないで。次から気をつけてくれればいいから」

 サミュエルはそう言うと、少し困ったような顔をした。

「ただ、団長はかなりピリピリしているから、しばらくは行動を控えてほしいかな。ベアトリスの姿が見えないって聞くやいなや、血相を変えて探しに飛び出していったんだから」
「団長が?」