俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


「団長?」
「お前もいなくなるのかと思った」

 かすかに聞こえた声はかすれていた。

「本当に……本当にごめんなさい」

 ベアトリスは深く反省し、しゅんとして目を伏せる。
 ベアトリスを抱きしめる力がようやく緩み、ジャンの体が少し離れた。

「とても反省しています」
「そうか」

 ジャンはベアトリスを見つめ、ふっと微笑む。

「では、勝手なことをした罰として、今抱えている資料整理の締め切りは明日までに繰り上げだ。それと、今後一カ月間、俺の許可なしの外出は一切認めない」
「……は?」

 ベアトリスは唖然としてジャンを見る。

「何それ! 一カ月って長過ぎ! それに、明日までだなんて……せっかく買ってきた新刊を読む暇がないじゃない!」
「じゃあ、読めるように急ぐんだな」

 ジャンは表情を崩すことなく、淡々と言い放つ。すっくと立ち上がったジャンは、くるりと体の向きを変えて部屋の出口のほうに向かう。

「では、またな」
「……っ! こっの、鬼―!」

 ベアトリスの叫び声が離宮に響いた。