ぴしゃりと言いきると、ローラは傷ついたような顔をして俯く。小刻みに肩が震えているのが見えた。
(泣いているの?)
少し心配になって「ローラ」と声をかけて手を伸ばそうとしたそのとき、パシンと乾いた音がした。ベアトリスの手をローラが叩いたのだ。
「ふははっ。すっかり王太子妃気取りで笑わせるわ。学園で地味女だったくせに、偉そうに!」
ローラは憎悪を込めた目で、ベアトリスを睨み付ける。
「アルフレッド殿下が望んだ、ね。でも、不貞の証拠が見つかったらどうかしら?」
「不貞の証拠?」
そんな物、あるわけがない。
なぜなら、ベアトリスは今も清い体のままだ。どんなに叩こうともその証拠は出てこないと自信を持って言い切れる。
「ばかばかしい話だわ」
「あら、そうかしら?」
朗らかに微笑むローラは意味ありげに近くの扉を開ける。ドンッと体を押される。その弾みでベアトリスの体がその部屋の中に倒れた。
「あんたが私より上なんて、あり得ない。傷心の殿下はわたくしが慰めて差し上げるから、安心してね」
バタンとドアが閉まる。
「えっ?」
ベアトリスは慌てて立ち上がり、ドアノブを回す。



