お茶会が終わったあと、ベアトリスはなんとなく気持ちが晴れないまま離宮へと歩く。
お茶会自体は楽しかった。シセルもとても優しくて気さくで、ベアトリスを歓迎してくれていることがよく伝わってきた。ただ、シセルから聞いたアルフレッドのこれまでの婚約者の話が引っかかるのだ。
(どんな方達だったのかしら?)
王太子であるアルフレッドの妃候補となるくらいだから、それなりの家門の令嬢だったはずだ。
悶々と考え事をしながら廊下を歩いていると、「ベアティ」と自分を呼ぶ声がした。
「え? ローラ?」
ベアトリスはそこにいた人物を見て驚いた。廊下沿いの一室の扉の前には、ローラがいたのだ。
「なんでここに?」
ベアトリスが今いる場所は、王宮の中でも限られた人──王族やその関係者しか立ち入れない場所のはずだ。
「どうしてもベアトリスに会いたくて、頼んで入れてもらったの」
「頼んで?」
誰に頼んだの?と聞き返す前に、ローラは「本当に会いたかったわ!」と笑顔を見せる。
「わたくし、一言あなたに謝りたくって。わたくしが間違っていたわ」
「え?」
「いくら愛し合ってしまったとはいえ、婚約者同士だったあなた達を引き裂くなんて──。本当にごめんなさい」
ローラはしおらしく顔を俯かせる。



