(これはもう、わたくしが去るのが一番早くて確実な場の収め方ね)
ベアトリスはそう悟ると、内心でため息をつく。
「分かりました。婚約破棄しましょう。では、この話はお終いで」
このあとへの影響を最小限に抑えるために、とにかくこの場の騒ぎを早く収めるべきだ。ベアトリスはその一心で、そう告げる。
「ようやく分かったか。二度とローラに近づくなよ」
「近づくわけがないでしょ」
近づくどころか、二度と関わりたくない。友人の仮面を被って近づいてきて、婚約者を横取りした挙げ句に人を悪人に仕立て上げたのだから。
今この瞬間、ローラは『ベアトリスが人生で接点を持った中で最もびっくりな人ランキング』堂々第一位だ。
「きみがこんな人間だったなんて、本当に残念だ」
ブルーノが心底がっかりしたように呟く。
「わたくしも、ブルーノ様がこんな浅慮な方だったなんて本当に残念です。一方からの意見しか聞かないのですね」
ブルーノの顔が僅かに歪む。
ベアトリスはもう話すことはないと、踵を返して会場をあとにする。



