本当に、こう言えばああ言う。
楽しげに笑うアルフレッドは絶対にベアトリスを揶揄っている。
ぽすんと叩こうと手を伸ばすと、その手は簡単に絡め取られてしまった。
バランスを崩した体は、アルフレッドに難なく支えられ、大きな胸に抱きしめられる。
「俺の妃はわかりやすくて可愛いな」
周囲から、「きゃあ」と黄色い声が聞こえた。
◇ ◇ ◇
ローラは、ぎゅっと拳を握りしめた。
「何よ、あれ……」
少し離れたところで、王太子であるアルフレッドとベアトリスが一目も憚らずいちゃいちゃとしている。それは、『アルフレッドがベアトリスを寵愛している』という噂に真実味を持たせるには十分な光景だった。
(許せない)
昔から、地味で大人しいベアトリスはローラの引き立て役のような存在だった。
ローラがベアトリスに出会ったのは、王立学園に入学した十一歳のときだった。大人しく自分の席で本を読んでおり、ベアトリスはいわゆる〝目立たない存在〟だった。
学園生活でも話の中心にはいつもローラがいてベアトリスは大人しい聞き役だったし、クラスメートの貴族令息達に声をかけられるのもローラのほうだった。



