「そっか、次期国王」
さぞかし偉そうな国王になることだろう。今から想像がつく。まあ、実際偉いんだけど。
「ベアトリス妃。私はここで」
ディクシー卿が軽く会釈をして、その場を去る。
その後ろ姿を見送ってからアルフレッドのほうを見ると。ひとりの男性が話しかけているところだっ
た。隣には若い女性が立っている。アルフレッドの視線がその女性へと向いた。
(あれは、社交界で美女と誉れ高いセリーク公爵令嬢ね? 相変わらず、お綺麗だわ)
セリーク公爵令嬢であるレティシアはたしか、今年デビュタントを迎えたばかりの十七歳だ。美女と誉れ高く、誰が彼女の心を射止めるのかと多くの貴族令息が固唾を呑んで見守っているとかなんとか。ちなみに、これらは全て友人達から聞いた情報だ。
アルフレッドが何かを話しかけると、セリーク公爵令嬢が頬を紅潮させてはにかむ。
(何を話しているのかしら?)
周囲の喧噪にかき消され、アルフレッド達の会話は聞き取れなかった。
なぜだろう。
ただ会話しているだけなのに、胸の内にもやっとしたものが広がる。
目が離せずその様子を見つめていると、こちらに目を向けたアルフレッドとバチッと目が合った。
(ん? こっち来る?)
アルフレッドは迷うことなくまっすぐにベアトリスに歩み寄る.至近距離で立ち止まると、ぐいっとベアトリスの肩を抱き、背後を振り返る。
「悪いが、大事な子猫が待っているから今宵は相手できそうにない」



