俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 これまで、さほどダンスが得意でないベアトリスはブルーノという婚約者が既にいることをこれ幸いと、あまり多くの男性とダンスを踊ってこなかった。相手が違うだけでこんなにも踊りやすくなるものなのかと驚きが大きい。

 曲が終わり、周囲から一斉に拍手が湧き起こった。タイミングを見計らったように、アルフレッドの周囲にまた人が集まり始める。

「アルフレッド殿下」
「おお、バンフィー卿ではないか! 久しいな」

 アルフレッドはひとりの男性から話しかけれ、表情を明るくする。

(バンフィー? バンフィー辺境伯かしら?)

 バンフィー辺境伯はセルベス国に四人いる辺境伯のひとりだ。国境地帯を治めており、王室からの信も厚いと記憶している。

(仕事の話かしら?)

 辺境伯は国境を守る役割を担うため、普段は王都から遠く離れた領地にいる。
 滅多に王都に来ることはないので、王宮舞踏会は王族と直接話せる貴重な機会のはずだ。

「殿下。わたくしは喉が渇いたので、飲み物を取って参ります」
「ああ、わかった」

 ベアトリスが気を利かせてその場を離れようとすると、アルフレッドはすぐにその意図に気付いたようだった。ベアトリスは辺境伯に一礼すると、ドリンクコーナーへと向かう。

「えっと、果実酒は……」