今日着ているグレーのフロックコートは襟や袖の部分に銀色の装飾が入った豪奢な一着で、首元には青色のブローチが付いている。そのせいなのか、いつもにまして煌びやかで輝いて見えた。
「照れているのか? 俺のベアティは本当に可愛いな」
アルフレッドは赤く色づくベアトリスの頬に手を添えると、その肌を愛しげに親指でなぞる。唇のすぐ横の辺り、ぎりぎり頬といえる部分に柔らかいものが触れた。
「ちょっ!」
抗議しようとしたベアトリスの声は、周囲にいる侍女達の「まぁ」と色めき立つ声にかき消える。皆、こちらを見て一様に頬を赤らめていた。
「さあ、行こうか。ベアティ」
「はい、殿下」
優しく手を取られ、ベアトリスは立ち上がる。
「行ってらっしゃいませ」
侍女達が一斉に頭を下げ、ふたりを見送った。
背後の扉が静かに閉められると、ベアトリスは横をキッと睨む。
「殿下! やり過ぎです!」
「何が?」
ベアトリスの抗議に、アルフレッドは小首を傾げる。



