俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 王宮お抱えの化粧師にそう言われ、ベアトリスは大人しく目を閉じる。まぶたの上に、やさしく筆が乗せられる感覚がした。続いて、頬や唇にも筆が乗せられてゆく。

「できましたよ。目を開けてください」

 化粧師の声に合わせ、ベアトリスはゆっくりと目を開ける。ベアトリスの顔をじっとのぞき込んでいた化粧師は、にっこりと微笑んだ。

「とてもお綺麗でございます。さすがはアルフレッド殿下の寵愛する美姫にございます」

 寵愛する美姫ではなくてお飾り側妃です、とは言えず、ベアトリスは曖昧に微笑む。しかし、大きな鏡の中の自分を見て動きを止めた。

「……これ、誰?」

 鏡の前には、目を引くような美女がいた。

 ぱっちりとした目元、ほんのりと色づいた頬、艶々とした口元。
 頭に乗せられたのはダイヤのちりばめられた白金のティアラ、首元にはドロップ型にカットされた大粒のダイヤが飾られ、耳にも同じくドロップ型にカットされたダイヤが輝いている。

 最上級のシルクを使った薄紫色のドレスは幾重にもドレープが重なる豪奢なもので、裾や袖には美しいレースがふんだんに使われていた。

 トントントンと部屋をノックする音がした。
 カチャリとドアが開き、顔を覗かせたのはアルフレッドだ。アルフレッドはベアトリスを見て驚いたように目を見開き、ふっと笑う。