「ラベンダーを思わせる薄紫色の、豪奢なドレスだったわ」
「ラベンダー? 薄紫色ってこと? ははっ、しっかり殿下の色だね」
サミュエルが笑う。
「あんな豪華なドレス、着こなせる自信がないわ」
ベアトリスはがっくりと肩を落としたのだった。
◇ ◇ ◇
王宮舞踏会の日、ベアトリスは朝からソフィアを始めとする侍女達に徹底的に磨き上げられた。
「始まる前なのに、もう疲れたわ」
「何を仰いますか。本番はこれからですわ」
ベアトリスがぽつりと弱音を漏らすと、ソフィアが叱咤する。
始まってもいないのに既に疲れてしまうほど準備に時間がかかるとは。恐るべし、王族の支度。
「妃殿下。目を閉じてください」



