俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


「来いっ!」
「嫌っ!」

 バロー伯爵はベアトリスの腕を掴もうと手を伸ばす。その瞬間、バチンと大きな音がしてバロー伯爵の「うぎゃっ」という悲鳴が聞こえた。

(指輪が光ってる?)

 ベアトリスの嵌めているアルフレッドから貰った指輪が、鈍く光りを放つ 。

(これは、魔法?)

 驚くベアトリスは、アルフレッドに力強く体を抱き寄せられた。
 アルフレッドは素早く剣を、バロー伯爵の鼻先に突きつける。

「俺の寵妃に許可なく触れようとするとは、いい度胸だな。今すぐ死にたいのか?」

 怒りに満ちた声が部屋に響く。
 アルフレッドに背中を踏みつけられ、バロー伯爵は床に這いつくばったまま倒れている。そのバロー伯爵を、アルフレッドが凍てつく眼差しで睨み付けた。

「この男を捕らえろ」
「「はいっ」」

 周囲から錦鷹団の団員達が飛び出してきて、あっという間にバロー伯爵が拘束される。

「到着が遅れて悪かった。怪我はないか?」

 アルフレッドが抱き寄せたままのベアトリスを気遣うように見つめる。

「あ、はい。大丈夫……」

 ──大丈夫です。