俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


「ちょっと気になることがあって、バロー伯爵に聞きたいことがあったの」
「私にですか?」

 バロー伯爵は明らかに困惑した表情を浮かべた。突然王太子の寵妃が訪れて聞かれることなど、心当たりがなかったのだろう。

「ええ、あなたに」

 ベアトリスは、わざと鷹揚な態度で頷く。

「最近、不法な人身販売が問題になっているのをご存じ?」
「人身販売……でございますか」

 バロー伯爵は目に見えて困惑の表情を浮かべた。

「ええ、そう。その人身販売について、マルカン地方の有力者が関与しているという情報があるのだけれど、何がご存じないかしら?」

 ベアトリスは単刀直入にバロー伯爵に訪ねると、彼をじっと見つめたままこてんと首を横に傾げる。

「マルカン地方の有力者が? それは何かの間違いかと思います。私の領地でそのような不届き者がいるわけが──」
「では、わたくしの持っている情報が間違っていると?」

 ベアトリスはバロー伯爵を見つめ、目を眇める。

「いえ、そういうわけでは──」

 バロー伯爵は視線を泳がせる。その眼球は忙しなく動いており、ベアトリスの高圧的な態度にどう反応すればいいのか思案しているようだった。