俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


「ブルーノ様、ローラ!」

 ベアトリスは笑顔で二人に近づき、ブルーノの腕に手を触れた瞬間、事件は起こったのだ。

「俺に触るな!」


 まるで虫を払うが如く、バシンと勢いよく手を弾かれてベアトリスは驚いた。

「ベアトリス=コーベット。きみとの婚約は、破棄する!」

 華やかな王宮舞踏会の会場の一画に、はっきりとした声が響く。
 その声に、周りにいた人々は何事かと皆動きを止めた。ざわざわとざわめいていた会場が、ここだけ一瞬で水を打ったようにシーンと静まりかえる。オーケストラの調べだけが唯一鳴り響き、さながら歌劇のワンシーンのようだ。

 そして、ベアトリスも動きを止めた人のひとりだった。ショックで動きを止めたのではなく、寝耳に水すぎて思わず動きを止めてしまったと言ったほうが正しい。

 ──なぜなら、王宮舞踏会の会場で公衆面前の元婚約破棄を宣言するという前代未聞のことをしでかしたのはベアトリスの婚約者であるコールマン侯爵家の次期当主──ブルーノ=コールマンであり、婚約破棄を突き付けられたのはベアトリス本人だったのだから!