ルイーズが大きく頷く。
「また連絡するわね、ベアティ」
「ええ。楽しみにしているわ」
ベアトリスはマーガレットに手を振る。
「ベアトリスさま、またね」
マーガレットに手を引かれたルイーズは少し離れたところからこちらを振り返り、大きく片手を振った。ベアトリスも右手を振り返す。
(うーん、可愛い! あの、ちょっぴり訛ったしゃべり方がまた可愛いのよね)
ルイーズの愛嬌のある仕草に、自然とにこにこしてしまう。
セルベス国は国土が広大なので、地域によってその土地特有のしゃべり方の訛りがある。ルイーズのしゃべり方は、西部の地域特有のものだ。
(……ん。訛り? そういえば……)
ふと、人身販売の組織に乗り込んだときのことを思い出す。廊下を忍び足で歩いているときに聞こえた声に違和感を覚えたのだが、今その理由がはっきりとわかった。
あのしゃべり方は訛りを無理矢理矯正しようとして不自然に聞こえたのだ。
(あのしゃべり方は……南部のマルカン地方 ?)
マルカン地方はセルベス国の南方に位置しており、先日保護された女性達の出身国──シュタルツ国とも国境を接している。



