俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 これまで、ベアトリスからアルフレッドに会いに行ったことは一度もなかった。だって、会いに行く用がなかったから。しかし、別にベアトリスからアルフレッドに会いに行ったっていいはずだ。

「たしか殿下は日中、本宮にある執務室にいらっしゃるはずよね」

 ベアトリスはすっくと立ちあがる。
 今夜アルフレッドが会いに来てくれるとは限らない。ならば、行くのは早いほうがいい。



 その十分後、離宮を出て本宮に向かったベアトリスはがっくりと項垂れた。

「まさか、いらっしゃらないなんて」

 アルフレッドは残念ながら不在だった。
 執務室を守る近衛騎士に聞くと、日中はほとんど不在にしているという。

(もう! 仕事もせずに何しているのよ!)

 人使いは荒いくせに、自分は仕事をサボっているとは許しがたい。
 執務室の前にいた近衛騎士には『ベアトリスが会いに来た』と伝えるように言付けたが、それを聞いた彼が会いに来てくれるかどうかはわからない。

(無駄足だったわ)