俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 喧噪を聞き流しながら、ベアトリスは走る。建物の間取りは事前にしっかりと頭に入れた。麻薬に関する証拠があるとすれば、一番大きな執務室の可能性が高い。
 ベアトリスは目的の部屋にまっすぐに向かうと、部屋の中を見回した。

 真っ先に目に入った書棚を確認し、次に執務机の引き出しを開けるが中に入っていたのは関係のない品ばかりだ。

「ここじゃないわ。どこかしら? ……ん?」

 ふと、引き出しの底が浅いことに気付く。ベアトリスは引き出しを引き抜くと、それを床に叩きつけた。木枠が外れ、部品がバラバラになる。
 そして、底板の下に空洞があり、中に茶色い封筒が入れられているのが見えた。

「見つけた! きっとこれね」

 ベアトリスは興奮気味に封筒を拾い上げると、中の書類を出す。

「これは、契約書?」

 ベアトリスは厚紙に挟まれた書類を慎重に広げる。そして、文面を読んで目を瞠った。

「これって……」

 それは、王太子アルフレッド=ガルフィオンがこの麻薬取引を全面的に許可しているという捺印入りの手紙だった。