ベアトリスはにこりと微笑みかけた。
少女は全部で六人いた。彼女たちを屋外に連れ出すには一階の応接室の前を通る必要がある。
先頭をカイル、最後尾をベアトリスにして廊下を忍び足で歩いていると、応接室の中からはわずかに話し声が聞こえてきた。
「では、トコス産のクリスタルガラスのシャンデリアはいかがでしょうか? ブラットン侯爵家の大広間を照らすのに相応しい、繊細な光を与えてくれます」
モヒート商会の商人と思しき人物が熱心にシャンデリアの売り込んでいるセールストークが聞こえてきた。侯爵家ともなれば大広間のシャンデリアも立派になるので、値段も計り知れない。
(ん? この喋り方……)
なんとなく違和感を覚えてベアトリスは立ち止まる。すると、ベアトリスが遅れていることに気づいたカイルがすぐに振り返って手招きをした。
ベアトリスは慌ててカイル達のあとを追いかける。
外に出ると、ジャンが今か今かとベアトリス達を待ち構えていた。
「保護対象はこれで全員か?」
「はい」
「よし。では、これより制圧する」
ジャンの指示で団員達が建物に潜入した。ベアトリスも少女達を外の警備担当の団員に預けると、もう一度建物内に戻った。
関係者が捕らえられ「はなせ!」という怒声がそこかしこから聞こえてくる。
(証拠品を差し押さえないと──)



