カイルは迷うことなく廊下を進む。途中で応接室の前を通る必要があるので音を立てないように慎重に進み、下に降りる階段を見つけて駆け降りる。
「鍵がかかっています」
ベアトリスは事前に把握していた貯蔵庫へのドアを開けようとするが、びくともしない。すると、カイルが「任せて」と言った。手には見慣れない金色の円盤を持っている。
「それは?」
「ん? 魔法の鍵だよ」
カイルはその円盤をドアの鍵穴部分にぴったりと重ねる。すると、数秒もしないうちにカチャッと音がしてドアが開いた。
(わあ、魔法ってすごい!)
これまでの人生、魔法なんて無縁の暮らしをしてきたので、錦鷹団の面々が普通に魔道具を使っているのを未だに物珍しく感じる。
「王都騎士団だ。助けに来たよ」
カイルが光の魔道具で中を照らしながら、話しかける。
そこには、ベアトリスと同じか、やや幼いくらいの年頃の少女が数名閉じ込められていた。カイルが近づこうとすると、怯えたように部屋の端に寄って震えている。
(男の人が怖いんだ)
即座にそう悟ったベアトリスは、カイルの肩を軽くたたいて変わるように促す。同性であれば警戒心を緩めてもらえるかもしれないと思ったのだ。



